私の祖父は京都西陣織りの織機関係のエンジニアでした。
昔はインドの繊維産地と京都の西陣織物産地は深い繋がりがあったようです。
祖父は1950年代にインドへ技術指導の為、インドのカルカッタやアーメダバードに住んでいました。
残念ながら現在の京都西陣織物産地の方々で、このような話を知る方はほとんどいなくなったようです。
祖父が持ち帰ったインドのプロダクトが、幼少期には光り輝くものに見えたことを昨日のように覚えています。
学生時代にバックパッカーだった私は東南アジア、西アジア、アフリカなどを中心に、その当時は旅のバイブルを片手に放浪の旅をしました。
その旅では、人々、風景、織物、刺繍、染色、プリントなど日本とは違う興味深いものばかりで、当時はインドで生地や作品を開発することなど考えもしませんでした。
その後、私が携わった幾つかのファッションブランドでは、旅をしたいくつかの国やインドで時々商品開発をすることもあり、更にインドが身近になってきました。 祖父が住んでいたインドの街にも行く機会が訪れるようになりました。
今では年に数回、物作りの旅に出かけます。
様々な国でも大都市では、昔から変わらない景色と最先端の景色が混在する、独特な雰囲気をかもしだしています。
ついつい土の匂いの強い懐かしい情景を求めて、気付いてみると郊外の村へ向かっています。
Seiji INOUE